どんなに弱い人でも、ではない。
「どんなに弱くても人は自由に働ける」を読んで最初に思ったのは、「どんなに弱い人でも」じゃないな、ということでした。
ひさしぶりに読み物を買いました。レジを通す時に胸が高まる本を買ったのはひさびさです。
この本を読むべき人
- 今の生活に息苦しさを感じている人
- こんな人生ではなかったはずだと思っている人
- 小説家やバンドマンを目指して10年以上結果がでないのに定職についてない人
- 就職したくない、働いたら負けと思ってる大学生
- 自分のことをダメな人間だと思っている人
当てはまる人は、なにかしら心を突き動かされるはずです。
若干ネタバレもします。小説仕立ての本なので、ネタバレ絶対したくない!という人はここで本を読みにいってください⬇︎
魚ではなく、釣竿をあたえて魚の釣り方を教える話
人との出会いは人生を変えるっていいますよね。
阪口さんのストーリーだと元ヤクザの人が人生を変えたキーパーソンと思われる人が多いと思いますが、わたしはもう一人の人、伊波さんのほうが思うところは大きかったです。
伊波さんがすごいなあってわたしは本を読んで思ったんですよね。
伊波さんは大企業の役員で、悠々自適に仕事をしているおじさんなんです。
うつ上がりの阪口さんに、伊波さんは「釣りを教えた」んです。
伊波さんは大企業の重役でかなりの権限ありそうな人なので、阪口さんを雇ってあげることだってできたと思うんです。でもそれは釣り上げたナマズを助けようとして死なせてしまうのと同じなんですよね。
伊波さんは阪口さんに魚を与えるのではなく、釣竿と魚の釣り方を教えたんです。
ほんとうにその人のためを思ったら、目先の食いぶちではなくて、食うに困らない生き方のほうが絶対いいんです。
伊波さんが阪口さんいいった言葉は短いけれど、絶対おれない釣竿として阪口さんはずっとと持っていることができる芯になったんじゃないかなあ、と思いました。
伊波さん、ぱない。
伊波さんがなんて言ったかは本でチェック⬇︎
本の構成と目次だけでイメージがひろがる作り
過去発行された本をわたしは読んだことがなく、今回の文庫ではじめて阪口さんの半生を知りました。
わたし、本を見る時つい文章以外(装丁や奥付け、カバーの裏とか)をチェックしてしまうんですか、「弱くても」は目次や見出しに工夫がたくさんしてあります。
- 希望をもてなかった時
- 仕事を始めたけどまったく成果がみえずにもがいたとき
- 人生に一抹の光を見出した時
写真に目を通すだけでも、阪口さんが通ってきた道を一緒に見るような感覚に陥るんではないでしょうか。
白と黒の2色で、世界観を表現してあります。でも読み進めていくと最後の方は白黒の写真が鮮やかなカラーで見えてくる、そんな作りになっていました。
自立することでつく自信
最後の方ですが、心に残ったフレーズに
人は、自立していない状態では、誰かと関係を築くことはできないのだと思う
という一節があります。
わたしは他人に甘えるのがド下手くそらしいです。そのくせ頼ったり助言をもとめるのも素直にできないあまのじゃくです。
伊波さんとのやり取りの中にあった、助けようと手をつくしたナマズが“針が内臓の奥深くまで入って”吐き出せずに死んでしまうという場面、わたしはあの池に沈むナマズになってしまうかもしれないって思いました。
社会的にちゃんと働いて借金もなく質素に生活しているけど、自立しているという感覚が薄くて自信をもてないわたしは、美味しそうなエサのついた針を飲み込んだらうまく助けてもらうことすらできずに死んでしまうんだろうと思います。
「どんなに弱くても人は自由に働ける」は、こんなわたしでも大丈夫だと、まだやれるだろう、とハッパをかけてくれる本でした。
「どんなに弱くても」ではなくて「どんなに今ダメな状況にいようと」人は仕事で自信をつけることができる。
その実体験をあますことなく感じることができました。3連休なにしよっかなっていう人、「どんなに弱くても」を読んだらなにかやりたくなって仕方なくなりますよ。
3連休ならやりたくなったらすぐ始められます。
1000円以下で手に入る冒険、してみてください。